倉庫の湿気対策で除湿機が効かない?棚の奥が湿る原因と確かめ方・対処法

段ボールの底が湿気でへたり、金属部品にはサビが浮く。棚の奥を見れば、荷物にカビまで生えている始末。

換気扇を回し、除湿機や除湿剤をしっかり設置しているにもかかわらず、奥まった棚や床付近のジメジメは一向に解消されない。

「除湿機をもう1台買い足すべきか、それとも根本的な対策が必要なのか」と、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

このように設備を動かしても棚の奥だけが湿るときは、湿気の量とは別のところに原因があるかもしれません。

この記事では、設備を増やす前に疑ってほしい原因と、自社の倉庫での確かめ方、その対策をお伝えします。

この記事でわかること

  • 倉庫に湿気がたまる2つの理由
  • 換気扇や除湿機を回しても棚の奥が湿る原因と確かめ方
  • こもった空気を動かす対策と、導入前に確かめられること
  • 外から入る湿気への換気・除湿・荷物の置き方の対策
  • 設備では防げない結露の見分け方

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堀部 哲士(ほりべ てつし)

株式会社桂アイディール 代表取締役 / 製造業・工場設備・建築の仕事に携わり約40年 / 遮熱対策の共著論文2件 本田技研工業を経て、経営者として4社経験し、2023年に5社目の桂アイディールを設立。「製品ではなく現場から考える」を信条に、工場・倉庫に関わらず、あらゆる施設の環境改善に取り組む。

倉庫の湿気はどこから来る?

水滴が付いた金属の配管

倉庫の湿気対策を考えるときは、まず「その湿気がどこから生まれているのか」を調べる必要があります。

実は、倉庫で発生する湿気には大きく分けて2通りあります。空気の流れが止まった場所にじっと「たまる」湿気と、外気や床・荷物から庫内へ「入ってくる」湿気です。

この2つは発生する仕組みがまるで違うため、打つべき手立てもまったく変わってきます。

空気がこもる棚の奥や床付近に湿気がたまる

倉庫の中を見渡したとき、湿気は全体へ均一に広がっているわけではありません。

背の高いラックやパレット積みの荷物が並ぶ倉庫では、荷物そのものが空気の流れをさえぎります。

その結果、空気の通り道から外れた棚の奥や壁際、建物の隅、冷えやすい床付近など、空気が動きにくい場所へ湿気が集中的にたまっていきます。

湿った外気や床から庫内へ湿気が入ってくる

もう一つは、建物の外や床面などから次々と入り込んでくるタイプの湿気です。

梅雨時や雨の日は外気そのものが大量の水蒸気を含んでおり、トラックの出入りや荷役作業でシャッターを開閉するたびに、湿った空気が庫内へ流れ込んできます。

見落としがちなのは、良かれと思って回している換気扇でも、外が湿っている時間帯は同じことが起きる点です。

さらに、土間コンクリートの床や保管している木製パレットなどの資材自体も、湿気の出入り口になります。

こうした湿気は、庫内の一角にとどまらず、倉庫全体の湿度をじわじわと押し上げる原因になります。

除湿機を増やしても棚の奥が湿るのはなぜ?

 

換気扇や除湿機を動かしていても棚の奥や床の近くに湿気が残ってしまう現場では、まず「その場所に空気がこもって動いていないこと」を疑ってみてください。

換気扇や除湿機の風は棚の奥まで届きにくい

湿気が取れない状態が続くと、「除湿機の能力が足りないのではないか」「もう2〜3台買い足すべきだろうか」と考えがちです。

しかし、どれほど馬力のある除湿機であっても、風が届いて空気が入れ替わる範囲には物理的な限界があります。

換気扇の風は吸気口と排気口を結ぶ直線の通り道に偏りやすく、除湿機の風も本体の周囲にしか届きません。

そのため、除湿機の近くや風が通る通路はカラッと乾いていても、離れた棚の奥には湿った空気がそのまま取り残されてしまいます。

棚の奥だけ湿度が高いなら空気のこもりを疑う

自社の倉庫で空気がこもっているかどうかは、温湿度計を2か所以上に置いて数値を比べることで、誰でも簡単に見当をつけることができます。

測る場所は、「倉庫の中央(作業通路など普段人が通る場所)」と、「普段湿気や結露が気になっている棚の奥や床付近」です。同じ時間帯に数値を記録してみてください。

中央に置いた1台の温湿度計だけを見て「湿度55%だから大丈夫だ」と判断していると、実は棚の奥が70%を超えていて、人知れずカビやサビが進行していた……という見落としが起きてしまいます。

測った結果 考えられる原因
中央より棚の奥や床付近がはっきり湿っている その場所に空気がこもっている
倉庫全体が同じように高く湿っている 外や床から入る湿気が中心

なお、どこまで湿度を下げればよいかは、保管している荷物しだいです。

たとえば段ボールに使う紙(原紙)は、岐阜県産業技術センターの試験で、湿度が80%を超えると押しつぶす力に対する強さが急に落ち、90%を超えると湿度50%のときの半分以下になったと報告されています。

自社の荷物がどれくらい湿気に弱いかを念頭に置きながら、場所ごとの湿度の「差」に注目してみてください。

こもった空気はどう動かす?

倉庫の天井に付いた大型シーリングファン

棚の奥や床付近だけが湿っているなら、除湿機をむやみに買い足す前に、倉庫全体の空気を大きく循環させる対策を検討する価値があります。

大型シーリングファンで倉庫全体の空気を回す

天井に取り付ける大型シーリングファン(HVLSファン)は、直径4〜6mほどある大きな羽根をゆっくりと回転させ、倉庫の空間全体に大風量の気流を生み出す設備です。

床置きの工場扇やサーキュレーターのように局所へ強い風を当てるのではなく、天井から床へ、床から壁際へと、倉庫内の空気全体をゆっくり大きく動かします。

実際に桂アイディールが導入をお手伝いしたある工場(公開しているお客様の声)では、大型シーリングファンを1基設置して工場全体に対流をつくった結果、梅雨時や冬場に悩まされていた床の結露がなくなり、床が滑る危険や保管していた製品が湿気でカビてしまう心配も解消したと語られています。

※これは特定の工場での事例であり、倉庫での実測値を保証するものではありません。

また、製造元の西田技巧も空気を循環させることで水滴の付着を防ぐと説明していますが、製造元独自の技術説明です。

そして何より知っておいていただきたいのは、大型ファンは「空気を回す設備であって、空気中の水分そのものを減らす設備ではない」ということです。

除湿機のように水を回収するわけではないため、外から湿気が次々と入ってくる環境では、換気や除湿と組み合わせる必要があります。

すでにカビが発生している場所でいきなり強い風を当てると胞子を周囲へ撒き散らしてしまうリスクもあるため、事前の拭き取り清掃も大切です。

大型ファンが結露や湿気に対してどのように作用するのかは、以下の記事もあわせてご覧ください。

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異常時に自動で止まる仕組みを確かめる

倉庫では、夜間や稼働が止まる休日の無人の時間帯にも、湿気が静かにたまっていきます。

インターネットの知恵袋などでも「無人の倉庫で夜間に除湿機やファンを回しっぱなしにして大丈夫なのか」という切実な相談が見られます。

人がいない現場で設備を動かし続けることへの火災や事故の不安は、多くの管理者様が共通して抱えているものです。

桂アイディールが扱う大型シーリングファンTHE FIRST FANの製品仕様には、こうした無人稼働時の不安に配慮した安全設計が組み込まれています。

  • ブレードの異常振動を検知して停止する装置
  • 地震を感知して自動停止するセンサー
  • 火災報知器からの信号を受けて安全に配慮する連動機能
  • 結露が始まる温度(露点)を感知し、結露しやすい条件のときだけ自動で運転・停止する温湿度自動感知システム(製造元オプション)

ただし、どのような現場でも無条件に回しっぱなしにしてよいわけではありません。建物の状況や、日々の定期点検の運用体制と照らし合わせて判断する必要があります。

これは除湿機など他の設備でも同じです。除湿機を長時間運転させる場合も、タンク満水時に自動停止するか、ホースで連続排水できる環境があるかを事前に確認することが大切です。

人がいない時間帯も稼働させたい設備を選ぶときは、「異常時に、人の代わりに自動で止まる仕組みがあるか」を必ずカタログや仕様書で確かめてください。

安全機能の詳しい内容については、倉庫のシーリングファンを解説した記事にもまとめています。

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効くかどうかは導入前に気流の図で確かめられる

天井に取り付ける大型ファンは決して小さな設備ではないため、「自社の倉庫に入れて本当に隅々まで風が届くのか」「せっかく導入しても効かなかったらどうしよう」と不安になるのはごく自然なことです。

建物の天井高や広さ、ラックの高さや並び方は、倉庫1棟ごとにまったく違うものです。

桂アイディールでは、導入前の段階で現場の条件をもとに気流と温度の分布を可視化し、風がどこを通り、どこに空気の滞りが生じやすいかを事前に確認したうえでご提案をおこなっています。

実際に導入されたある工場のお客様からも、事前のシミュレーションによって工場全体に対流が起こる仕組みの説明を受け、非常に分かりやすかったとのお声をいただいています。

なお、このシミュレーションでお見せするのは「風の流れと温度の分布」であり、湿度の分布図そのものではない点にはご留意ください。

倉庫全体が湿るときは何をする?

外から湿気が大量に入り込んだり、床一面から湿気が上がってきたりして倉庫全体が湿っているときは、大掛かりな設備工事を考える前に、日々の換気のタイミングや除湿機器の使い方、荷物の置き方を見直すことが先決です。

換気が効くのは外の空気が乾いている日

換気扇を回したり、窓や搬入口の扉を開放したりする換気は、「庫内の空気と外の空気を入れ替える」ための手段です。

そのため、換気で湿気を逃がせるのは、あくまで「外の空気のほうが庫内よりも乾いている日」に限られます。雨の日や梅雨時、霧の出ている朝晩などは、むやみな換気を控えるのが基本です。

なお、外が乾いているかどうかは天気予報の湿度(%)の数字だけでは見誤ることがあります。

温度が高い空気ほど多くの水分を含むことができるため、同じ湿度50%であっても、気温20℃の空気と10℃の空気では含まれる水分の絶対量に差があるためです。

雨の日は閉め切って除湿機や除湿剤を使う

外の湿度が高い雨の日や梅雨の時期は、窓やシャッターをしっかり閉め切り、外気に頼らずに空気中の水分を直接取り除く除湿機や除湿剤を活用します。

ただし、これらの手段は日々のメンテナンスが欠かせません。

置き型の除湿剤は吸湿が進むと液体に変わるため定期的な交換と廃棄が必要ですし、除湿機も毎日の排水タンクの水捨てやフィルター清掃をしないと除湿能力が落ちてしまいます。タンクの水を満水のまま放置すると、かえって除湿機の周辺が高湿度になってしまうこともあるので注意してください。

また、家庭用や押入れ用の小型除湿剤を広い倉庫に並べても、空間の広さに対して能力が足りないことがあります。

長期間保管する大切な荷物がある場合は、湿度を下げ続ける仕組みと日々の管理負荷のバランスを考えて選ぶ必要があります。

荷物はパレットに載せて床や壁から離す

設備を足す前に、今ある荷物の置き方を見直すだけでも湿気のリスクを大きく減らすことができます。

  • 床に直置きせずパレットに載せる:冷えやすい床から離し、下に空気の通り道を確保します。
  • 壁や棚との間にすき間を空ける:壁との間に空間をつくり、空気がこもるのを防ぎます。
  • 特に湿気に弱いものは防湿箱に入れる:定期的に中身を確認する運用とセットで保護します。

設備で防げない結露は建物の断熱を疑う

換気扇や除湿機を動かし、ファンの風を当てても、屋根の裏や外壁際、特定の床面などで結露が繰り返される場合があります。

そうした場面で疑うべきなのが、「建物の断熱性や気密性の不足」です。

気流の循環で防げるのは、あくまで「空気がこもっていることが原因で起きる結露」までです。屋根や外壁そのものが外気で極端に冷やされ、そこに触れた室内の空気が急冷されて水滴に変わっている場合、いくら室内の空気をかき混ぜても結露を完全に止めることはできません。

どこまでが空気の流れで解決できる問題で、どこからが建物側の断熱改修などを考えるべき問題なのかを早めに見極められれば、効果の出ない設備に無駄な費用をかけ続ける失敗を防げます。判断に迷うときは、専門家に現地を見てもらうのが確実です。

まとめ:除湿機を増やす前に中央と棚の奥の湿度を比べる

この記事のポイント

  • 倉庫の湿気には、棚の奥や床付近に「たまる」ものと外から「入る」ものの2通りがある
  • 棚の奥が湿るなら空気のこもりを疑い、中央と奥の湿度を比較する
  • こもった空気には倉庫全体の循環が有効で、効果は導入前に確認できる
  • 外からの湿気には、天候に合わせた換気・除湿と、荷物を床や壁から離す置き方で対処する
  • 設備で止まらない結露は、建物の断熱や気密の不足を疑う

除湿機をもう1台買い足すべきか、空気を回す大型ファンを検討すべきか、それとも建物の修繕を考えるべきか。

倉庫の湿気対策で迷ってしまうのは、「倉庫のどこで、どのように空気が止まっているか」が外見からは見えにくいからです。

まずは費用をかけずにできる第一歩として、温湿度計を「倉庫の中央」と「棚の奥や床付近」の2か所に置いて、数値を記録し比べてみてください。

もし中央に比べて棚の奥の湿度が明らかに高いなら、除湿機の台数を増やす前に、「こもった空気をどう動かすか」に焦点を当てる段階です。

桂アイディールは、大型シーリングファンをはじめとする環境改善設備を取り扱う会社ですが、「とにかくファンを設置してください」といった製品ありきのご提案はいたしません。

現場の状況を詳しく確認し、空気を回す対策が本当に必要か、あるいは換気や除湿の見直し、保管方法の工夫で足りるのかも含めて、最適な解決策を一緒に設計します。

50㎡の小規模なスペースから70,000㎡の大規模施設まで、現場調査から施工完了まで一貫して全国で対応しています。

「棚の奥の湿気がどうしても取れない」「自社の倉庫で空気を回したら効果が出るのか知りたい」「設備で解決できる範囲なのか見極めてほしい」とお悩みの際は、以下のContactからお気軽にご相談ください。

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